なにかの始まり


テレビスポット01

テレビでスポットCMが流れた。
何のCMだろう、友近さんが出ているなあ、
でも今をときめく友近さんにしては、近場の公園で適当に撮影したような、
つまりはぼくが普段つくっているような、
ずいぶんチープなCMだなあ、とまず思った。

最後に検索窓が出て、CMのメッセージにはじめて気づいた。それは、
「新卒者の皆さん、ローカル局の採用試験を受けてください」というものだった。

給与は地域の最上位、転勤も(ほぼ)なく、親の近くで暮らせる。
その昔、都市圏の大学からのUターン希望者にとって、
地方局は第一地銀と並ぶ「Sランク」の就職先だった。
それがいつのまにか、こんなことになっていた。
ぼくみたいな端っこの、そのまた端っこの人間でも、
(むしろ「だから」というべきか)長い間働くなかで、好不況の波を肌で感じる。
その感覚から言えば、平成30年春のいまは、景気はいい。忙しい。
ぼくが若かった頃のようだ。

その業界が、就職活動世代から避けられているという。
確かにぼくがいま22歳だったら、
30年後にローカル局が「残存」しているという想像はできないだろうなとは思う。
息子たちの、(端っこの端っことはいえ)父親が働く世界に
なんら興味も関心もない様子を見るだけで、それはあきらかだ。

先のことは誰にもわからないが、
「ここはなくなるだろう。でもこれがなくなったあと、
その役割(商圏)を誰が(なにが)引き受けるのだろう」ということは、
10年以上前から考えていた。
ぼくが現役で働いているうちになくなることも充分にありえたが、
そして「2011年 新聞テレビ消滅」なるコケオドシにしてもあんまりな表題の著書もかつて出版されたが、結局なにもおこらなかった。

 おこりそうでおこらず、おこらなそうでおこるのが世の中だけど、
さてこれはなにかの始まりを示すものなのだろうか。